第二、比丘(ビク)或は苾蒭(ビクシュ)は、その始め在俗の時に、前述のような道心を起し、父母ある人は父母の許可を得て、出家を決定した上、乃ち比丘僧である師について剃髪染衣し、全く家族との関係を断って、修道に入るものを云うのである。
勿論入道の初めは沙弥(しゃみ)或は沙弥尼(しゃみに)となるのであって、沙弥等の十戒、乃ち
を完全に持って、沙弥行を全(まっと)うしたことを師より認められ、生年二十歳以後に至って師より具足戒を授受した者を、初めて比丘或は比丘尼と云うのである。
第三、受持具足戒。
比丘には具足戒とて二百五十ヶ条の護持すべき戒律がある。
比丘尼には三百四十八戒あり、通常これを比丘尼の五百戒と云っている。
比丘の二百五十の大略の項目は以下の如くである。
この中第一の断頭戒中の一つにても犯せば、首を断ち切られたと同じように、全く比丘僧としての生命がないものとなるのである。
次の十三僧残の一つでも犯せば、僧として瀕死の状態に陥るものであって、その残余の生命を救うためには、僧衆に向って懺悔するのである。
それで漸(ようや)くにして残命を全(まっと)うすることが出来るから僧残と云うのである。
そうして四断頭、十三僧残の戒法を全うすることが出来ても、更に不定、捨堕等の二百三十七の戒律を持たねばならぬ。
その上この一々の戒律に細目のあるものがあって、それ等を完全に護持することを、具足戒を受持すると云うのである。
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