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第76 - 詐欺は悪魔の専売特許

このように一般に酒の害を蒙(こうむ)る世の中に、その害を消滅するために、不飲酒戒を以て、衆人を指導せねばならぬ地位にある僧侶が、却って豪飲大酒する者が多いのである。

特に悟りを開いたとか、印可を得たとか称する禅宗坊主に、暴飲豪酒してそれをもって、宗家の大胆不羈(ふき)なる資格かの如く心得る魔僧が多く居る。

世人の中には彼等を以て禅的英雄の如く思う者もある。

 

公然とまた堂々と大本山或は大精舎において、授戒会を執行する時は、本尊仏前において授戒師は僧侶或は俗人に対して、不飲酒戒を持つや否やと尋ね、次(つい)で彼等が持つと答えた。

その両者ともその口の唾液が未だ乾かない中に仏前を退いて食堂に入るや、戒師も授戒者もまず目出度(めでた)しと称(たた)えて、共に酒を飲むのである。

甚だしきは何々本山の授戒会において、四斗樽幾挺呑(のみ)干したとて、その授戒会の盛大を誇る口実にする者もある。

 

これ実に仏を欺き、己れを欺き、清浄の弟子を欺いて、共に仏堂内において、魔業の害毒を流すものである。

これをしも仏教と云うならば、仏教ほど公然と詐欺を行うことを教えるものは外にないのである。

ところが真の仏教はまじめに八正道を教えるものである。

 

かの詐欺は悪魔の専売特許である。

されば現今の仏教は仏教の名と財産とを悪用して、詐欺的経営を専らとする悪魔どもの職業である。

国家が精神的に眼が覚めたならば、一日も彼等の存在を許すべきではない。

詐欺は必ず法律の制裁を受けねばならぬものであるから。

 

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